2018/03/27
四年後の自分・四年前の自分
養護教諭とスクールカウンセラー
奈良甘樫高等学院・広域通信制高校慶風高等学校奈良サポート校では今年度最後の取り組みとして、養護教諭や公認心理師・臨床心理士を将来の目標として考える生徒たちのための勉強会を行いました。養護教諭の仕事や学校現場での取り組みについて具体的に知り、かつ実際のイメージとしてとらえることで、生徒たちのキャリアデザインやキャリアビジョンに対するモチベーションが向上してくれることを期待しての企画です。
臨床心理学を専攻する卒業生やかつての教え子たちに加わってもらったのは、養護教諭の仕事がスクールカウンセラーと密接に関連する分野であることもにもよりますが、実際の学校現場で教員とカウンセラーの認識や意識のズレを感じることも多く、臨床心理学を学ぶ方には学校や教員、教育の仕事について、教育や保育を学ぶ方には臨床心理やカウンセリングについて相互に学ぶ機会があればよいとの以前からの考えに基づきます。
厚労省の国家資格・公認心理師
従来の臨床心理士に加えて、心理学の分野では初めての国家資格である公認心理師が厚生労働省の資格として新設され、文部科学省は現在小学校で約60%、中学校で約90%の配置率となっているスクールカウンセラーを平成31年度までに100%にする目標を打ち出しており、学校や教育分野における心理系職員の数と常勤配置はさらに増加する見込みです。
特に今年の高校卒業生は大学で公認心理師の大学カリキュラム・標準シラバスを学ぶ第一期生となり、単位の中には1〜2年次に履修しなければならない単位が含まれています。ただでさえ慌ただしい、入学時の履修登録やオリエンテーションで見落としがあっては大変ですが、私が心配するまでもなく、先輩たちがキッチリとアドバイスしてくれていました。
窓の外は桜花爛漫・勉強会は議論白熱
さて、堅い話はこれまでにして、実際の勉強会は、参加メンバーが現職の養護教諭、養成課程で勉強中の大学生や大学院進学を控えた臨床心理学専攻の大学卒業生だけに、リアルかつ迫力あるトークが活発に行われ、先輩の後輩に対する「やさしさ」がにじみ出て、在校生が思わず感泣し、在校生の「ピュアな言葉」に先輩が感涙する場面が展開、教え子たちの「深い共感」に私も思わず熱くなるなどして、二時間程度の予定が、なんと!五時間を越える超ロングラン勉強会となり、夏休み期間の再会を期して大団円となりました。
終わり良ければすべて良しといいます。時の流れるのは速いもので、奈良甘樫高等学院の創立二年目、平成29年度もめでたく終わり、明日から新年度、新学期の準備に入ります。学院前の高田川に沿って続く、高田千本桜の美しい桜並木はすでに満開となりました。願わくば学院の卒業生たちが大学や短大の入学式を迎える次の日曜日までもてばよいのですが。
種を蒔く人「卒業生による進路研究授業」~卒業生たちの後日譚
光陰矢の如し、この研究会から早や六年が過ぎ去り、私も還暦を迎えました。参加者の高校生たちも最年長の教え子が大学を無事卒業し、養護教諭として教育現場の第一線で元気に活躍中、続く教え子たちが、心理学部の大学院一回生とリハビリテーション学部の四回生に進級し、念願だった公認心理師と作業療法士(OT)の国家資格取得に王手を掛けています。
初志貫徹を願うばかりですが、この取り組みは現在も卒業生による進路研究授業として発展継続中です。一昨年からは卒業生をスクールサポーターの名称で教職員として採用し、力を合わせて現在の生徒たちの学習支援やメンタルサポートに立ち向かっています。学校教育や教員の存在意義が問われる時代になりましたが、私は無意味な議論であると思います。
私たち教員の仕事は「種を蒔く人」種を蒔き大切に育てる人がいなければ花は実を結ばないのです。一流のシェフや料理人はよい料理には時間ではなく手間暇をかけると言いますが、よい教育には時間と手間暇の両方が必要です。AI教育はお手軽で結構なことですが「人の心」に触れることができるのは、やはり「教員の心」だけではないかと思う昨今です。
桜の花 ちりぢりにしも わかれ行く 遠きひとりと 君もなりなむ(釈迢空・折口信夫)
学校行事・学習活動リンク集
厚生労働省ホームページ・公認心理師ページ
文部科学省・スクールカウンセラーについて
養護教諭勉強会や学習会のフォトギャラリー
卒業生スクールサポーターと教員紹介ページ
進路指導キャリアデザインゼミのブログ記事