2024/10/15
絵本作家『エドワード・ゴーリー』
ミステリアスな作家のミステリーツアー
突然ですが秋の校外学習のご案内です。今回は奈良県立美術館で開催中のエドワード・ゴーリー作品展と奈良公園、奈良町界隈を巡る旅です。エドワード・ゴーリーはアメリカのシカゴ出身、不思議な世界観とモノトーンの緻密な線描、造語や古語を巧みに織り込み、韻を踏んだ独特な言語表現によって、世界中に熱狂的、カルト的なファンを持つ絵本作家です。
展覧会は第Ⅰ章『不幸な子供』、第Ⅱ章『狂瀾怒濤あるいはブラックドール騒動』、第Ⅲ章『金箔のコウモリ』、第Ⅳ章『ジャンブリーズ』の四部構成で、関連展示として『エドワード・ゴーリーと日本文化・20世紀アメリカの眼』も同時開催されています。大の猫好き作家が愛猫にフジツボ、コキデンと名付けるほどの源氏物語通であることも見所の一つ。
日本文化の影響?源氏物語と鳥獣人物戯画
登場する奇妙な生き物の作画やタッチには、由来や作者が謎の国宝、京都高山寺所蔵『鳥獣人物戯画』の影響も指摘されています。ともあれ今回の作品展には関西初となるゴーリーの代表作の原画が多数出品、不思議で不気味、ブラックなのに何故か魅かれてしまう。エドワード・ゴーリーのユーモラスでうろんな世界観を堪能していただきたいと思います。
代表作の『うろんな客』や最新作『青い煮凝り』などはミュージアムショップで購入もできます。興味のある方は購入して秋の夜長に鑑賞するのも風流かと思います。英語に自信がなくても大丈夫、人気翻訳家で文学者、柴田元幸さんの訳文は『The Doubtful Guest』を『うろんな客』とするなど、英語原作の魅力を伝えてなお余りあると評判の日本語版です。
作品との距離が遠い!辛口評論家の生徒達
直訳や意訳をすると怪しい客や不思議なお客となる所を『うろんな客』と訳するのは、ゴーリー作品の持つシュールでダークな魅力や雰囲気を伝える人間の感性やセンスの勝利であると思います。優秀な自動翻訳ソフトやアプリが無料で利用できる便利な時代ですが、やはり文学作品や芸術作品の妙味は AI には永遠に理解できないのではないでしょうか。
生徒たちの感想は『不可思議な感覚』『猫好きに悪い人はいない』など様々ですが、共通の意見は『作品との距離が遠い』でした。施設の老朽化などもあると思いますが、企画が秀逸なだけにここは残念な部分です。帰路は奈良公園を鹿と戯れつつ散策し、興福寺や猿沢池、奈良町を巡って、餅飯殿センター街、東向商店街から近鉄奈良駅へ戻ります。オーバーツーリズムを警戒し、正倉院展や紅葉直前で観光客の少ない時期を選びましたので、こちらは大成功の校外学習でした。
学校行事・学習活動リンク集
奈良県と奈良県立美術館の公式ホームページ
法相宗大本山『興福寺』国宝館ホームページ
校外学習『錦秋の奈良紀行』ブログ記事
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